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数寄階段のビル

The Suki Stairway Building

Description

数寄階段のビル

既存建物は京都大学に近い大通りに面して建ち、外見は解体を待つ、ごくありふれた70年代のモルタルビル。ところが玄関に一歩踏み入ると意外にも内装が数寄屋。そんな建物でした。

 

既存の内装は傷んで汚れており、貸事務所として使うにはあまり適していないものの、階段室と玄関のすだれ天井、そして壁面の浮造り板は、この建物の個性として保存に値するのではないか、とヤマダ(YA)は考えました。

 

この方向性により、内装全体を解体して新調するには厳しい予算条件にも合わせられました。最終的な設計案では、解体工事の範囲を厳選して最小限にとどめ、残された大部分の既存内装の天井や壁をふかして手頃なビニルクロス内装を上貼りする原則を採りながら、階段室のすだれ天井と浮造り壁パネルは顕しにしています。

 

この建物の数寄屋らしい既存内装の意匠を、新しいファサードにも拡張しています。おもて通りに面した1階部分の外壁は、節なし、赤身、板目の杉羽目板を縦張りし、窓開口部は格子を取付けています。

 

さらに、減築して歩道に開放された半屋外の空間を新たに設けています。この空間の床は三和土ふうの土間とし、70年代まで前面の大通りにもあった市電軌道用の敷石を飛び石として埋め込んでいます。

 

歴史を感じさせるこれらの材料が、全体の簡素な意匠、並びに、自然光を隅々にもたらす高窓と組み合わされることで、この建物の建築的体験をより豊かにすることを目論んでいます。

​(写真:杉野 圭 特記ない限り

建築の概要

鉄骨造3階建て住宅を事務所用途に全面改修  

所在地

京都市内

規模

床面積 100平米

​(全階合計)

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